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ふしだら音楽室〜汚された制服〜
第2章 はじまりの音楽準備室
 男の声には聞き覚えがあるが、パニクった頭が混乱し誰だか思い出せない。

「あぁ……神谷先生……」

 美羽の甘えた声が告げた相手。
 相手は吹奏楽部の顧問の神谷だった。

 ドドッ、ドドッと胸の音が神谷に聞こえそうなほど高鳴っている。
 指先が震えていると思ったら、腕全体がガクガクと震えていた。
 気付くと、なんでだかわからないが身体全体がガタガタと激しく震えていた。
 
 神谷と憧れの美羽が、いけないことをしている。
 そう認識したとき喉がひりついた。
 乾ききっていてツバを飲み込むこともできない。

「美羽をエッチな女にしたのは神谷先生です。ぢゅる、ぢゅ、ぢゅ」

「先生はなにもしてないぞ。もともと山口がスケベだったんだよ。淫乱な部長なんだよ」

「イジワルを言わないで……くだ……あぁ! そんなところ……ダメです」

 さすがに、この扉の向こうで美羽と神谷がいけないことをしていると悠人は理解していた。
 だが納得がいかない。顧問の神谷は40代の、さえない音楽教師だ。
 がっしりした体躯で、もともと声楽を専攻していたと言っていた。
 テノールだかなんだかよくわからないが、テレビで見るオペラ歌手のような、お腹のはりでたオッサン。
 つまり、ただのデブだ。
 しかも髪は薄い。

(なんで山口さんが、ハゲでデブの神谷なんかと?)

 悠人は混乱をよそに、美羽の押し殺したような、切なげな声が漏れ聞こえてきた。

「先生……先生の……舐めさせてください」

 悠人は耳を疑った。

(あぁ……ちょっと、山口さん……信じられない……なにを舐めるっていうんだよ?)

 悠人の疑問を野太い神谷の声が代弁する。
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