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淫縛~寝盗られ妻は逝き色獄に淫涙を流す(旧タイトル:淫妻)
第5章 チャプター05
 麗とデートを重ねるうちに、智はだんだんと彼女に魅せられている自分を発見し、愕然としたものだった。麗のような綺麗な人に好意を寄せられるのは、嬉しいことでがあるが、自分から彼女を好きになってはならない、と諌(いさ)めなければならなかった。
 が、恋心というのは、自分でもどうにもならないものだ。そう思えば思うほど、彼女から心を切り離すことができなくなってしまっていた。ずるずると、彼女との付き合いも三ヶ月に渡り、智の部屋で彼女の手料理をご馳走されることになったある日のこと、遂に麗からどうして、私を抱いてくれないのですか、と求められてしまった。
 智はもし、麗とそういう関係になりそうになったら、これまでのことを彼女に話し、別れを告げようと、心に決めていた。が、智の話を聞いても彼女は納得せず、泣きながら別れるなんて嫌、私は決して智さんを裏切ったりしないわ、と逆に彼女に肉体関係を迫られてしまったのだ。
 そして――なし崩し的に智は麗と同棲を始め、結婚にまで至ってしまった、というわけだった。
 結局、麗の口約束は守られることはなかったのだが、それでも彼女が智を心から愛してくれていることは、疑ったことがなかった。
 智が、麗が他の男に抱かれているのではないか、と考えるようになった直接のきっかけは、手首や足首に残されていた、縄の跡だった。麗は隠していたつもりのようだったが、智はすぐに、そのことに気づいた。それが、いわゆる緊縛プレイの跡だということにも。
 時折、麗がふとした時に、艶っぽい表情を見せることがあったのだが、智もその時はまさか、彼女が智の知らないところで男と会い、抱かれているなど、考えもしなかった。が、縄の跡を見せられては、そうもいかなかった。
 麗が智を裏切り、他の男の剛直に貫かれ、歓びの声を上げている――そのことを想像しただけで、嫉妬で気も狂いそうになった。また、同じことを繰り返すのか、と絶望感に打ちひしがれた気分だった。麗を失いたくないと思ったが、同時に彼女もまた、智がこれまで付き合ってきた女性と変わらないという事実に、憎しみすら抱いた。
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