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蘇州の夜啼鳥
第2章 かりそめの恋
「…俺を見て…。
本当に、後悔しないか?」
「…片岡さん…」
「…もう若くはない。
見ての通りおじさんだ。
君みたいに若くて綺麗な女の子とセックスして…後悔されたくないんだ。
やめるなら今だよ…」
言葉にすると、自分の老いを実感するようで寂しさが押し寄せる。

暁蕾は恥じらうように微笑みながら、片岡の身体に触れた。
「…こんなに素敵な身体なのに…何を言っているの…?」
「シャオレイ…」
肩から胸に白い指を、ゆっくり愛おしげにすべらせる。
「中国の中年のひとはあまり見てくれを構わないの。
そういう文化もないし…。
だから日本人は皆んな若々しくて…いつも驚くわ。
…でも、貴方は特に若くて逞しくて…背も高くてハンサムでおしゃれで…。
…本当は…最初から素敵なひとだな…て思っていたのよ…」
…悔しいから言いたくなかったけれど…
そう呟いて上目遣いで片岡を睨んで見せた。

「…シャオレイ…!」
そのまま引き寄せ、抱きしめる。
「…あ…っ…」
…硬く熱く兆した片岡の牡が、暁蕾の下腹部に強く押し付けられる。
「…君がほしくて…こうなってる…」
艶やかな黒髪を搔き上げ、桜色の耳朶に囁く。
「…ばか…」
片岡の肩口に貌を埋めてしまう。
「…好きだよ…シャオレイ…」
…口に出すと、これ以上しっくりする言葉はなかった。
「…私もよ…」
潤んだ瞳が、片岡を見つめて微笑った。

荒々しく唇を奪い、そのまま再びシーツの海に二人で沈み込む。
…甘く痺れるような、愛と欲望の海へと…。




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