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愛することで私たちは罪を犯す
第1章 1. 悲劇の序章

「…琉泉?」
ハッとして呼ばれた方に視線を移すと、エレベーターはすでに到着しており、響がこちらを見ている。
「すみません」
「開」ボタンを押してくれていた女性社員に頭を下げ、琉泉も一ノ瀬とともにエレベーターに乗る。
「えっと、18階…っと」
一ノ瀬が警備部のある18階のボタンを押す。
琉泉の所属している警備会社は、YAGAMIホールディングスの傘下にある子会社だ。
そのため、勤務地はYAGAMIホールディングスの施設警備が多い。
ちなみに、YAGAMIの本社が今いる大きな建物で、その中の18階ワンフロアが警備会社の本部だ。
ポーンと心地の良い音とともに、エレベーターが18階に到着する。
「それでは、失礼します。副社長」
「あぁ」
他の社員はすでに各階に降りており、エレベーターの中には副社長室のある20階で降りる響しか乗っていない。
エレベーター前で一ノ瀬とともに一礼し、扉は閉まった。
「さて、今日も働きますか!!」
一ノ瀬は伸びをしながら琉泉たちが所属している『4号警備課』へと歩き始める。

