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愛することで私たちは罪を犯す
第1章 1. 悲劇の序章

…………………………

高速道路を降りて、緑豊かな道を行く事15分。

目的地である河原町公民館に二台の車が到着した。

周囲が安全かどうか、確認するために琉泉たちボディーガードが先に降りる。

住民がやや遠くから、不安げにこちらを眺める姿がちらほら見えるが、特に危険性はなさそうだ。

今日のバディである一ノ瀬と確認し合い、無線に報告を入れる。

「駐車場、異常ありません。降車お願いします」

今度は響の秘書が車を降り、後ろ側のドアを開ける。

真打の登場だ。

紺のブランドスーツを華麗に着こなし、優雅な佇まいで車を降りる響。

まさしくその姿は、大企業の御曹司だ。

誰もが響に釘付けで、その美しさに息を飲むその場で、琉泉は妙な気配を感じた。

住民が集まる場所から、鋭く刺すような視線。

それは、周りの羨望や感嘆に飲まれることなく、ただ純粋に負の感情だけが伝わってくる。

その視線をたどると、一人の男にたどり着いた。

普通の服を着ている、普通の男のように見えるが、その瞳からは、恨み人を地獄の底へ叩き落とすような執念の炎が見える。

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