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愛することで私たちは罪を犯す
第2章 2. 偽りの世界

会社の裏に停めてあった黒い高級車の前で、白髪の運転手が恭しく一礼をする。
「お待ちしておりました」
運転手として長らく仕えているのだろう。
その姿はとても清廉されており、どこか八神家の使用人を想出させる。
(さすが、何十年も続くグループの家柄…ってところね)
琉泉と相模は後ろの席に乗り、車は走り出した。
…………………………
車は都内を抜け、郊外へと進んでいく。
土地勘のない場所に入ることに、一種の不安を駆り立てられる。
「そんなに警戒せずとも、とってかかったりは致しませんよ」
隣でその様子を見ていた相模が苦笑しながら話しかける。
「それに、もうすぐ着きますしね」
会話が途切れてから3分も経たないうちに、車は大きな門の前で止まった。
門の上に設置されたカメラが車をとらえ、認識、許可し、自動で奥に開いていく。
「ここが皇の本邸です」
よくテレビやドラマで見るような、門から豪邸まで数十メートルほどある道を車は進み、本邸の前で横付けされた。

