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愛することで私たちは罪を犯す
第2章 2. 偽りの世界

「さて。皇家の奇妙な事件は、もう聞いているかな?」
「………はい」
「そうか。…私たちは19年前、大切な家族を3人、同時期に失った。2人は殺され、もう1人は行方不明となったんだ。行方不明となったのは、当時6歳の少女……私からすると姪にあたる少女だった」
心臓が、バクバクと鳴る。
「その子の名前は……皇 琉泉。……君だ」
心底驚く、ということはなかった。
ここへ連れられ、相模に自分の正体を匂わせるようなことを言われ、琉泉はなんとなく自分がこの皇の血統を引いている気がしていた。
ゆっくりと息を吐き、呼吸を整える。
気分は吐きそうなくらい悪かったが、震える手を押さえつけ、声を絞り出す。
「私には、6歳より前…施設に入る前のことは、まったく記憶がありません。…教えてください。何故、私は……施設にいたのですか」
「あぁ、そうだね。正直、君が記憶をなくした理由は分からない。だが、それは恐らく両親の死が関係してるのだと思う」
男性ーー皇 拓武は、琉泉の過去をゆっくりと語りだした。

