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愛することで私たちは罪を犯す
第1章 1. 悲劇の序章

琉泉には、親がいない。
気付いたときには、児童養護施設にいた。
6歳より前の記憶が全くなく、琉泉の中にある一番古い記憶は大人に手を引かれて、その施設に引き渡される時のものだ。
琉泉は偀の養子という形で八神家に迎えられ、響と共に育った。
高校まで出してもらった琉泉は八神に恩返しをするため、12歳の時に開花した空手の才能を生かし、YAGAMIホールディングスが契約している警備会社に就職し、響の専属のボディーガードとして生活している。
「…急がなきゃ」
時計の時刻は7:25。
逸脱していた意識を戻し、琉泉はベッドから出て準備を始めた。

