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第5章 乳母…5

「ごめんなさい。もう大丈夫です。」
事務所に戻るとあおいは笑顔を作った。
「何かあったのなら、話して欲しいよ。」
川口の言葉にあおいは頷いた。
「大丈夫。もう、大丈夫。ありがとうございます。」
笑顔をつくり川口に頭を下げた。

でも何故隼人君を実家に渡したのかしら…
無理矢理連れて行かれたのかしら…
他人だから、深入りなんてしない方がいい…のよね

あおいは隼人の事も佐野の事も忘れてしまおうと思った。
私には関係の無いことだもの。

「私の思い込みだったの。」

そう、私のせいじゃない。
最初から何も無かった事にしたらいい。

自分に言い聞かせながら、
「川口探偵法律相談事務所でございます。」
デスクに座り、電話を取った。