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乳母…めのと
第1章 乳母…1

あおいは桜田の家に向かった。
話しをしようと彼の家の近くで待っていた。

桜田が奥さんらしき人に笑いかけている姿が見えた。奥さんは感染症予防の為なのか体調不良なのかマスクをしていて、顔はよく分からなかったが、桜田の表情はよく見えていた。桜田は優しい笑みを浮かべていた。
よく見ると奥さんのお腹が大きい…
そして、桜田が奥さんの背中に手を当てながら、足元を気をつけるように言っているかのようなジェスチャーが見えた。

その光景を見ると頭の中が真っ白になり、靄がかかった。そして胸が痛くなった。

妊娠中?
夫婦の仲が悪かったんじゃないの?
離婚協議中じゃなかったの?
セックスはしてなかったんじゃないの?

あおいが彼に事情を聞こうと近付こうと動くと、急に両脇に女性が回り込み、掴まれ車に乗せられたのだ。

車に押し込まれる時、桜田の方を見ると冷たい目でその様子を眺めている姿が見えた。

両脇を掴んだのは私服の警備員だった。
これ以上ストーカー行為をして、桜田につきまとうと警察に通報すると告げられたのだ。

「ストーカー?私?」
あおいは最寄りの駅で車から降ろされると立っている力がなくなりその場に座り込んでしまった。

「私は…私は何をしたの?」
あおいは怒りがわいてきた。
子供を産みDNA鑑定をし桜田の元に鑑定結果と子供を突き出してやろうと思った。
お腹を摩りながら、頭の中には桜田への憎しみで復讐をしようと強く思っていた。





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