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第4章 乳母…4

あおいが帰宅しようと、ホテルから出ると桜田があおいの前に現れた。
あおいは突然に目の前に現れた桜田に驚いていた。

「あおい、元気そうだな。それ俺の子？」
桜田は隼人に視線を向け、ベビーカーを覗き込もうとした。

あおいは咄嗟にベビーカーの日除けを下ろし桜田からの視線を遮り、
「違います。」
と冷たく言いながらその場から離れようと、早足で歩き出した。

すると桜田はあおいの横について歩きだした。
「男の子？女の子？」
しつこく背後から桜田は話しかけてくる。
あおいは無視をして歩いていたが、ホテル前の交差点の信号が赤になり、足を止めた。

「あおい、俺はまだ愛してるんだ。一緒に暮らそう。勿論三人でだ。一人にさせて悪かった。上からの命令であおいをクビにしろと…俺は止めようとしたんだ…だけど…あおい…子供を生んでも、綺麗だな。いや…もっと綺麗だよ。」
桜田はあおいの背後から耳元で囁いた。
「生活に困っていても、子連れでデリヘルなんて教育に良くないよ。な…話し合おう。おまえの住んでいたマンションの近くのホテルなら…」

あおいは振り返りもせずに
「これ以上しつこいと警察呼びますよ。」
と、普通の声で言った。
近くにいた信号待ちの人が桜田に視線を送った。

信号が青に変わると、あおいは早歩きで交差点を渡り、桜田はその場に残っった。

桜田の言葉は全て嘘に聞こえていた。
あの時に嘘だと気付いていたら…

悔しかった。