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乳母…めのと
第4章 乳母…4
暫くすると佐野は部屋に入ってきた。
隼人の寝顔を覗くと優しく笑い
「可愛い顔をして…よく寝てる。」
そう呟き、ベッドに座るあおいの隣に座った。

「じゃあ、寝ようか。」
あおいは頷くと、佐野の手があおいの手に触れ握りしめた。
「手を繋いで寝たいな。」
可愛らしい言葉にあおいは可笑しく思いながら頷いた。

そして二人は横になると
「俺の母親は小さい時に死んだんだ。すぐに継母が来たんだ。継母は優しかったけど、可愛がっては貰えなかったんだ。抱き締められた事もないし、手を繋いだ事もなかった。幼稚園の頃母親に抱き締められた友達が羨ましく、小学校の時に母親と手を繋いだ友達に会うと羨ましく思っていた。転んで怪我をしても『大丈夫?酷くならないように消毒して貰いましょうね。』って俺の面倒はお手伝いさんが見てくれていたんだ。俺は母親の気を引きたくていろいろ頑張っていたけど、中学の時に継母だと知り、荒れたんだ。万引きしたり、喧嘩したり…いつも継母が警察や相手に謝っていたけど、俺を叱らなかった。ただ無言で俺の前を歩いていたんだ。継母は元お手伝いさんで、母親が病気になると父親は愛人をお手伝いさんにしたんだ。そして母親が死ぬと直ぐに俺の為にって結婚したみたいなんだ。祖母がそう言っていたから…いつも温もりを探していたのに、自分が温もりのない人間になっていて…」

佐野はこの後、言葉が出なくなっていた。


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