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6月の花婿
第2章 仕掛けられた罠



お昼どきになり、社員達も徐々に出かけだした。


「汐田、俺らもそろそろ昼飯行こうか。」


神田は向かいの席から汐田の方へ身を乗り出した。

神田の後ろには、同僚が数人立っていた。

だが、いつも一緒の編集長が見当たらない。


「いいですよ。編集長は一緒じゃないんですね。」

「どっかにいるんだろうけど、捕まらないんでーす。」


準備がてら、話す汐田と神田。
その横から唐突に編集長が顔を出した。

「汐田、例のVIPが来てる。お前と食事をしながら、仕事のことを話したいそうだ。」

「あー。編集長ゲット。ちゅーっ。」


神田は編集長の首に抱き着き、頬に唇を落とした。

「神田、邪魔だ。そういう事情だから、悪いけど行ってくれ。」

編集長は神田を払いのけた。
二人の馴れ合いはいつものこと。
お決まりなので、誰も触れなかった。


「わ、分かりました…。」


同僚の生暖かい眼差しに見送られ、VIPがいるという応接室の扉をノックした。




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