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フツウ、ノ、オトナ - エロ教師って呼んでやるよ
第1章 セイヘキ

「ありがとうございました。さよなら。」

「気をつけて、帰って。」
職員玄関まで送った。時間外は生徒玄関は一切開閉しない。玄関で、彼は引き戸に手をかけたまま、ぴたりと立ち止まった。

「先生、」

「まだ何か忘れてた?」

「俺、やっぱトイレ行きたいわ。付いてきて。」
慶が伏し目がちに笑うと、まつげが茶色く揺れた。

「何、それ。すぐそこに見える職員用のお手洗い使っていいから、早くいっておいで。」

「いってきます」
まじで我慢してたんだよね、と笑いながら慶はスリッパをパタパタいわせて、お手洗いに向かった。


濡れた手をちゃんとハンカチで拭きながら慶が戻ってきた。

「そんなに、走ってお手洗い向かうほど、我慢しなくてもいいのに。」

「我慢した方が、出す時、気持ちいいって知ってた?」

「何言ってるの?ばかじゃない。もらすよ。」

「俺、かけるなら、センセイの車じゃなくて、体がいいな。」

「は?」
唐突に、かけるなら、と言われて言葉を失った。

「だから、おしっこかけるなら、車じゃなくて、ミナミ先生に直接が、いいなあって。」

「え...慶、あのね、」

「先生も知ってるでしょ?この世には、そういう性癖が、あること。」

「...」

「なんて聞いて、照れてるの、想像したからじゃん!先生、本当にオトナ? 思春期の男子相手にするのって大変ですね。じゃ、さよなら〜 明後日から無視したりしないでね。」

絶句している私を横目に、慶は玄関から飛び出して、手をひらひらと振って帰っていった。してやったり、の顔だった。

思春期の奴が何を考えてるのかなんて、一生分かりたくないと思った。

なんだか無駄に疲れて、仕事を続ける気が失せた。


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