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片時雨を抱きしめて
第2章 第二章 片時雨

先生が私を体から離すと、何事もなかったように私を車に乗せた。
私だけドキドキして___、
自分が子供であることを認めてしまうようで癪だったが、心拍数は早いままだった。
先生の車を濡らしてしまうのは心苦しかったが、私は導かれるまま助手席に乗った。
車は先生の匂いが少しだけした。ツンと鼻孔をくすぐるような甘さと鋭さを兼ねそろえた香水のような、とっても良い香り。すう、と大きく息を吸う。
一晩中豪雨の中にいた私の制服はもう服の意味をなさずに肌にぴったりと張り付いていて体の震えは止まらなかったが、椅子の下から出てくる暖房で足先の感覚が徐々に戻ってくる。
先生は何も言わないまま車のエンジンをかけた。
ずいぶん遠くまで来ていたようで、窓からのぞく街並みは目に新しい。
先生は何も言わないまま車を走らせて、近くのコンビニに停めた。
「あったかいもの買ってくるから。コーヒーのめる?」
私が小さくうなずくのを見ると、先生が私の髪の毛をわしゃわしゃと乱した。
すぐ戻るから、待っててね、そう言い残すと車のドアを閉めた。

