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片時雨を抱きしめて
第2章 第二章 片時雨



家には絶対に帰らない___。

「家送るっていうなら降りるから。停めて」


私は声を硬くしてシートベルトを外した。雨は未だ強いがさっきまでもずっと打たれていたのだ。今更なんだって言うのだ。
家に帰るのなら__またあの濁流が頭に浮かぶ。

「私死ぬから。家に帰されたら、死ぬから」
口からするすると言葉がこぼれる。
「ママ私のこと嫌いなんだって」
窓の外の雨は、地面に打ち付けるたび激しい音をたてている。
「私が死んでも誰も悲しまない」
先生からもらったコーヒーの缶をぎゅっと握りしめる。
「家に帰るくらいなら、死ぬから」
震える声を隠すように、短く言い放つ。
また目の奥がツンと熱くなる。


「わかったから、___

わかったから、泣かないで、綿谷」


左手がハンドルから離れて、私の頭に置かれる。生徒指導室で感じたあのあたたかくて大きい手。頭を触れられているのに、そのもっと下お腹の奥が熱を持つのはなぜだろう。

「家に、帰りたくない」

私は小さく訴えた。どうかわかってほしい。どうか、どうか。祈るようにうつむく。

「わかった。他に行く当ては? 親戚の方とか、近くにいないの」

先生は困ったように息をもらしながら、先生らしく、妥協案を提案する。


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