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片時雨を抱きしめて
第2章 第二章 片時雨

「ちがう、の。先生なんにも、わかってない。
私はママのこと心から、心から大好きで、私がママを守るって、支えるってきめてたの。あの日から、父親が出ていったときから、わたし、ずっと」
ママのことを口にすると、信じられないくらいすぐに声が震えてしまう、上ずってしまう。視界が、ぼやけてしまう。
心の中にあるまだ言葉になっていないものが、言葉になるより先に涙となって私から声を奪う。
ちがう、ちがうの。私はただそうつぶやくしかできなくて、
ただ否定することしかできないでいる。
先生は優しく私の言葉を待ったまま、見つめている。
「でも、いらないって。私なんか、生まなきゃよかったって。
なんで、なんでなの_____!?
私ずっとママのこと守ってた、支えてたのに。
なんで、なんでそんなこと言われなきゃいけないの、わかんない、私もう何にもわかんなくて」

