この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
片時雨を抱きしめて
第2章 第二章 片時雨

感情が、まだ言葉になり切れていないままのどをとおる。理路整然としていないまま、伝えたいこと、伝えないといけないこと、言葉が、出てこない。
思考回路の順番がわからない。思ったこと、思いついたことがそのまま口を吐く。
「でも、でも先生のことは大好きで、ママのことでいっぱいいっぱいのはずなのに、先生のそばにいたら自分でもわけわかんなくなっちゃって、変なこと、たくさんいっちゃって、でも、好きで」
もう、わからない。
わからないけど、好きで、
「先生が好きで、今はそんなこと言ってる場合じゃないってわかってるのに、好きで」
好きで、
だから、
「ママのこと、忘れたいの」
先生が好きで、好きで、だから、
「ママのことも、今日のことも、あとでちゃんと、ちゃんと考えるから。
だから、」
だから、おねがい、
体がまた震えて、震えて止まらない。まとまらないままの言葉が、たくさんの思いを含んでほろりとこぼれる。視界が、揺れた。その涙の意味がわからないままで、でも、
でもだから、だから、
「抱いてほしいの、お願い」
おねがい、先生。

