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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第2章 #1
初めての味に戸惑いつつ、手のひらを舐めながら上田を盗み見る。色付いた頬に投げ出された体が何とも色っぽい。よく見れば口許から一筋滴る跡があった。ついでとばかりにそれも舐めてやろうと体を伸ばすと、ギョッと、上田が覚醒した。
「なっ」
「涎垂れてるやん」
「舐めるな!うわ」
そのまま無理矢理舌を絡ませると、顔を背けて拒絶した。
「不味っ、なにこれ」
「お前のやし」
「――――はああっ?!」
精子のついた手をひらひらさせて見せると事態を把握したのか、「マジキモい」とか「しね」とか「汚い」とか「変態」とか散々な暴言を吐かれた。
拒絶出来るのにさっきはしなかった。その事実には気付いてないようだ。
「とにかく俺が男だってのはもうわかっただろうが。キスとかマジやめろ」
「なんで?」
腐ったゴミでも見るような目付きをされた。