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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第3章 #2


「どんな人ですか」


改まった口調で尋問され上田は目が泳ぐ。


「どんなって……変態?」


悪気はなかったが他に思いつく言葉がなかった。今まで男に慕われたことがない。いや、他人が慕われてる場面すらも見たことがない。そのせいで純粋な好意に対してであっても、不純との識別がつかない。故に上田にとって男の恋活はすべて変態行為とみなされるかもしれない。

逆に言えば多少非常識な変態行為も特に疑問を持たれずに、そういうものかと認識される。仕切りが曖昧なのだ。


「見た目は俺より背が高くて眼鏡かけてる。サッカー教えてるくらいだから筋肉質でわりとガタイはいいと思う」

「真希と比べたらたいてい大人の男の人は皆大きいよぅ」

「悪かったな」


上田は女子高生としてならば平均的な身長だが、美希の前では男子としてのプライドもある。


「きっとそのうち伸びるし」


美希の振りをして女子高に通っているのだから、このままのほうが都合はいいのだが。いつまでもつかはわからない。


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