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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第4章 03


 高校へ通う途中、同じ敷地内にある中等部の傍を通りかかった上田に黄色い声が色めき立った。見れば後輩の女の子たちがこっちを見ていた。


「美希先輩おはようございます」


 きゃあきゃあと賑やかなのは珍しくはない。女子の集団とはちょっとしたことではしゃぐものだと上田は認識している。嫌な顔一つせず、美希として間延びしたような緩んだ顔で小さく手のひらを振って見せた。

 女子校なのだから当たり前だが、ここには女子しかいない。女子同士でありながら後輩の中には美希のファンがたくさんいる。


 高等部の制服とは違うデザインが懐かしい。上田はブレザーだが後輩たちはセーラー服だ。あっという間に取り囲まれてしまうが、美希ならばにこにこと笑顔を絶やさない。


「みんなおはよぉー。朝から元気いっぱいだねー」


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