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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第5章 #4


上田がデートの装いからラフなスタイルになったので、片桐も思いきりラフなモードで気取るのをやめた。すなわち男の下着姿で部屋をうろつく。濡れた髪をタオルで拭きながら冷蔵庫を開けた。


「マサキ何飲む?」

「何でもい――」

「ビール?」

「……お茶でいいです」


飲み物を持って上田のところへ戻ると、サラサラの綺麗な髪が揺れて片桐を見上げた。


「何か着れば」

「えー。自宅やのに?」

「……別にいいけど」


明らかに目をそらす上田に片桐はニヤリとした。


「何や意識しちゃうん?」

「べつに」


魅力を最小限に押さえ込むような、色気もないと思われた上田のTシャツ短パン姿は、よく見ればそうでもない。そこから伸びる手足や首筋には何とも言えない色っぽさがある。


(ヤバイなぁ。襲ってしまいたいわ)


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