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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第5章 #4


「練習の日以外は何してんの?」

「休み以外はほぼ毎日練習やで。色んなとこ掛け持ちやから。終わる時間とか一緒やけど月曜は場所遠いから戻ってくんの遅いねん」

「ふぅん」


何となく上田の髪を耳にかけてやったら、想像以上に可愛くてドキッとした。


「何か食う?晩飯作ったるわ」


自分に慌てて立ち上がると上田は目を丸くした。


「え。料理とかすんの?」

「当たり前やで」


一人暮らしは家事全般もこなさねばならない。


「へぇ。すっげえ。何かちょっと見直した」


何が幸いするかわからないものだ。キッチンで調理を始めると上田はものめずらしそうにずっと観察していた。


「めちゃめちゃ手際いい」

「一緒に作るか?」

「え……いや見てる」


誰かに観察されるというのは何だかこそばゆい。だが上田は楽しげだった。


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