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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第6章 #5
月曜の夜。
すでに辺りは真っ暗な中、帰宅した片桐が暗がりの玄関をぬけて部屋に上がり電気を付けた。カーテンを閉めようと窓に近付く時、テーブルの上にポツンと置かれた鍵に足を止める。
瞬間、ザワッと背筋を襲う悪寒。合鍵がここに置いてあるということは、上田が来たということだ。
――鍵を返しに?
今まで我慢していた感情が不意に爆発しそうになる。だが喉に何かが突っ掛かり声が出ない。叫びたい衝動は次の瞬間別の叫びに変わった。
「うわぁっ……!」
隣の部屋の暗がりの中に人がいた。ベッドのわきに座り込んでいた上田だった。
「ま、マサキか?……驚かすなや。お前一体……っ」
今まで何をしていたとか、どうして電気もつけないとか、言いたいことは山ほどあったが。とりあえず落ち着け!と自分に言い聞かす。