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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第6章 #5


「どしたん……?」


暗いままの部屋に入り、上田の前に片膝をつくと、上田は三角座りの膝に物憂げな目を覗かせていた。しばらく沈黙のあとポツリポツリと呟く。


「医者が言うには……移植って事例自体が世界でもあんまりなくて……性同一性障害とかでもないし……法律的にも技術的にも、それはどうかって」

「待て待て待て。何の話や」


片桐の頭はハテナに埋め尽くされる。上田はついに下を向いて肩を震わせはじめた。


「美希が死んだ」

「――なん……?」


頭がついていかない。何を言っていいか咄嗟には浮かばない。


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