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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第6章 #5
「マサキ」
肩を抱き寄せると簡単にグラついて転がって来た。こんなに軽かった気はしない、痩せてフラフラな印象に一層焦りがわいた。
「そんな思い詰めんなや……!何でそんなに背負い込もうとすんねん」
「俺のせいで美希が」
「違うやん。ミキちゃんはミキちゃんの人生を生きてそれを終えたけど、お前は自分の人生すら生きてないやん」
力を込めて抱き締めると上田は声を上げて泣き出した。
その頭を抱え込むように抱き締めただ寄り添うくらいしか出来ないまま、何十分も、時折撫でたり口付けをして慰めたがなかなかその涙は止まらなかった。