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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第6章 #5
それもそのはずだ。
上田は誰より美希を愛していた。家族として、兄弟として、双子として――そしてそれ以上に絶対的な存在として。
物心ついて以来、何より美希を中心とし、優先をし、成り代わってまで、自分のすべてを捧げていた。
美希の病気は自分のせいだと、一人で背負いこんだ。
違うといったところで聞きはしないだろう。歪んでしまったとはいえ、それが上田にとっては、かけがえのない美希との繋がりなのだ。
それほどまでに愛せた美希との別離れが、たやすく癒せるわけもない。