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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第6章 #5
「少し、水分とかとって休まんと……お前いつからこんなボロボロやねん」
涙も枯れたのか、ぐったりと静かになった上田をゆっくり撫でる。
「……ユキ、」
「なん?」
腫れた瞼を押し上げて、片桐の目を見た上田の額に自然とキスを落とすと、掠れた声が弱々しく呟いた。
「めちゃめちゃにして、俺のこと壊して……?」
「――――……」
すでにめちゃめちゃに壊れている上田が、それでもすがって懇願する。
「……わかった」
片桐は上田を抱き締める腕に力を込めた。
世界の中心を無くした心が、闇の渦に飲まれそうになっているなら。同じくらい強い力で、引き寄せる光が必要なのだろう。