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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第6章 #5


冷蔵庫の中から冷たいスポーツドリンクの入ったペットボトルを取り出し、開いた口に豪快に流し込んだ。一気に食道を下る冷たさと潤いが、この熱を冷ますことはなかった。まるで頭に血が上っていて、冷静さからは程遠い自覚がある。

座り込んだままの上田の唇を舐めてやると、ほのかに甘いスポーツドリンクの滴がついた。上田が微かに顔をあげて見上げてきた。


「自分で飲むか?」


ペットボトルを差し出してみたが上田のガチガチに凍えた手では上手く掴めないことを知ってる。唇の滴を舐めて上田がその味に鼻をまたすすった。


「……おいしい。飲ませて」

「水分補給せんと、アカンやろ」


もう一度口に含み、今度は飲み込まず上田に口付けた。


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