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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第6章 #5
「優しく出来る自信はないで」
「うん、いい」
上田をベッドに寝かせ、体重をかけた。久しぶりのキスは荒々しくて、一切余裕がなくて、熱くて、涙の味がした。息が出来ずに溺れるように喘ぐのをそれでも逃がさず追いかける。肩に食い込む指先が痛みを刻んでいく。ズルズルと力任せに服を剥ぎ取り、あちこち歯をたてながら舐めるとすすり泣く声がか細く聞こえた。
心の痛みを体の痛みで掻き消すように、真っ直ぐな愛をぶつけようと思った。
ずっと不安で寂しかったという自分勝手な気持ちでしか、今は愛せない。慰めただけでは呼び戻せないなら。ありのままの感情をぶつけるほうがいい。