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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第6章 #5


身を委ねる上田にしてみれば、まるで肉食獣に捕食でもされる気分だった。めちゃくちゃに壊してほしいと言ったのは自分だ、片桐の激しい愛撫に身を硬くしながらも、強く求めた。

半身である美希を失ったショックでどこへ進めばいいのか何もわからなくなった上田には、唯一片桐の存在が道標のようで。すがりついた願いを受け入れられたことへの安堵が恐怖を勝っていた。


もう、何で泣いているのかわからない。心を埋め尽くしていた哀しみが剥がれ落ちていく。肉体を襲う快楽の波が意識を簡単に飲み干した。頭も心臓も手足の指先も、弾けるように電気の信号が駆け巡る。全身に快感が満ちていく。

上田が声を漏らし小さな悲鳴でビクつく度に、片桐が名を呼んだ。肌に口付けながら、熱い息で囁く。

言葉などなくても、互いに求めあうのがわかった。


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