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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第6章 #5
握り合った手がガチガチに固まったまま目を覚ます朝に。全身の痛みで身動きもろくにとれない。
「ぅ……あ、おは…よ」
「ん。……な、マサキ。お前どこも行くなよ」
「うん?……何が?」
「何が『何が?』やねん、すっとぼけもええ加減に――」
はた、と思い出したように突然上田の目が変わった。
「何や……どないしたん?」
「手紙。美希からユキ宛に」
脱ぎ散らかした服のポケットからクシャクシャになった手紙を出して皺を伸ばす。
「……俺に?」