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唇果実
第1章 少女達
私に足りていないもの。それは陰毛くらいのものだし、オッパイと同じくらい私にとっては構わないものだ。

「ユウリは少年みたいだね」

似非少年たちは私を近寄りがたく感じているみたいで、夏の制服になったとたん血走る眼を私の胸元へは落とさない。かわいそうな奴ら。私は堂々と少女たちの大きく空いた夏服の胸元へ手のひらだって滑り込ませることができるというのに。

しっとりと汗ばんだスベスベの肌に包まれたお餅は、それ自体の重力によって手のひらを吸い付けてくる。
ちょっと握れば指の間から手が埋まった分だけ溢れ出てきて、私はこれをまるで「心」みたいだと思う。心の容量は決まっているから、感情で満たされている状態であれば新しい感情が侵入してきた時、何かしら溢れ出てきてしまうのだ。
それは笑いだったり涙だったりの形で排出される。

でも、あの真っ赤な唇が触れ合った日、私からあふれたのはもっと蜜のような粘度と甘さのある液体だった。
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