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硝子の初恋
第5章 名前は特別の証?
ブーブーブーブーブー

メールが収まると、今度は着信攻撃が始まった。

「え? え? どうしよ?!」

「……貸せ」

高臣がまゆなの携帯に出る。

『まゆなちゃん? ハァハァ……今何してる? ハァハァ……僕はまゆなちゃんの写真見ながら……ハァハァ……オナニーしてるよ……ハァハァ』

電話の向こうから聞こえる興奮して裏返った男の声。卑猥な雑音と荒い呼吸。高臣は吐き気を覚えた。

「気持ち悪りぃんだよッ! てか、番号間違ってるぞ、バーカ」

『!!??』

高臣の怒鳴り声に、相手が驚いて息を飲んだのが伝わってきた。次の瞬間、一方的に通話が終了した。

けど、その後もまた別の番号からの着信。

「眞斗……」

鳴り止まない携帯を、涙目で見るまゆな。

高臣は小さく舌打ちすると、まゆなの携帯の電源を切った。

「まゆの親っていつも何時に帰ってくる?」

「え? あ……6時頃には……」

「じゃあ、明日は部活休んで携帯ショップ行って番号変更してこい」

「番号変更? うん、そうだね。そうする」

「変えたら、適当な奴に番号もアドレスも教えんなよ」

高臣は、不安気に泣きそうになっているまゆなを抱き締める。

(さっきの電話の奴、まゆの写真って言ってたな。ヤバイ事にならなきゃいいけど……)
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