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硝子の初恋
第5章 名前は特別の証?
昨晩から高臣に言われた通り、電源を切っている。
昨晩のうちに、沙有里の家の電話に掛け、その事を話していたまゆな。

心配していた沙有里は、おはようの挨拶も忘れ、まゆなに抱きついた。

「大変だったね」

「うん……。だから今日は、部活休むから」

「そっか、わかったよ」

いつもとは逆に、今日は沙有里が自分の胸にまゆなの顔を抱き止めていた。

そこへ三園と原口がやってきた。

「まゆちゃん、携帯変えるの? 番号変わったらまた教えてね?」

そう言うと、2人は顔を見合わせてクスクス笑いながら立ち去る。

(……まさか……ね?)

タイミングのよさに、つい2人を疑ってしまうまゆな。

「三園さんと原口さんに、ケー番とアドレスを教えたの?」

「……うん」

「いつ?」

「……昨日」

沙有里は黙り込み、何かを考え込む。

「ぐっ、偶然……だよ……ね?」

縋るように、まゆなは沙有里を見遣る。

「わかんない……。でも、とにかく! 新しい番号もアドレスも、絶対教えない事」

「うん……」

証拠もないのに疑ったらダメだと思いつつも、三園と原口の態度にどこか違和感を覚えてしまう。

(簡単に教えちゃった私が悪いよね)

昨晩の恐怖を思い出し、まゆなは小さく震えて、沙有里の胸に顔を埋めた。
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