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硝子の初恋
第6章 怖いくらいに幸せ
三園と原口が、まゆなの腕を引いて連れ出そうとする。

「ちょっと! 三園さん、原口さん」

様子を見ていた佳菜美が、2人を呼び止める。

「まゆの父親、警察の偉い人だから。まゆに何かしたら、あんたらの家族や親族巻き込んで人生めちゃくちゃだから!」

佳菜美の言葉に、三園と原口の顔色が変わった。

「やだぁ、佳菜美。それって中学の時にまゆをいじめてた奴の実話披露? 怖〜い」

成美が佳菜美の話に便乗すると、原口は慌ててまゆなの腕を離した。

「べっ、別に私たちは何も……」

三園は明らかに動揺しているし、原口の顔は正に"顔面蒼白"だ。2人は曖昧に笑うと、逃げるように教室を出て行った。

「佳菜美も成美も怖いー! よくあんな嘘が咄嗟に出てくるね」

感心した沙有里。最後の方は小声で言う。

「今回の件はあの2人が怪しいと思って! でも、まゆのお父さんが警察官なのは本当でしょ」

佳菜美がまゆなに笑いかける。

「そうだけど、お偉いさんじゃないよ?」

まゆなの言葉に、

「嘘も方便!」

と佳菜美が不敵に笑った。
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