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硝子の初恋
第6章 怖いくらいに幸せ
「高臣くん、2位おめでとう!」

プール出入り口は、高臣に群がる女たちでごった返す。

まるでアイドルの出待ちのようだ。

女たちのアピール合戦。クリスマスプレゼントを兼ねたプレゼント攻撃が始まった。

「ごめん、受け取れない」

高臣はそう言いながら、女たちを掻き分けて進む。

「えー!? 遠慮しないで?」

「何でダメなの?」

顧問やコーチ、警備員までもが、女たちの整理に駆り出される。

「……そういう決まりだから」

"今後の水泳競技発展のために、ファンを無下にするな。プレゼントは受け取れない決まりだからと誠心誠意断れ"

更衣室を出る時に、コーチに言われた言葉。申し訳なさげな演技を加えて伝える高臣。

「やだぁ、マジメぇ」

「かわいい」

どさくさに紛れ、高臣に抱きつこうとする女すらいる。

「……うぜぇ」

ボソっと呟いた高臣の声は、女たちの歓声に掻き消された。
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