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硝子の初恋
第6章 怖いくらいに幸せ
「お疲れさまでしたぁ」

高臣はまゆなの肩を抱いたまま、チラリと顧問やコーチやチームメイトを振り返り、ヒラヒラと手を振る。

「ったく……。ちゃんと身体休めろよ!」

顧問が苦笑いを漏らす。

「高臣!お前の体力半端ねぇんだから、 神崎を壊すなよ!」

コーチはニヤニヤと笑う。

「眞斗ぉ、羨ましいッ」

「明日休みだからってヤリまくんなよ!」

チームメイトからも次々と野次が飛ぶ。

固まっていた取り巻きの女たちからは、

「何あれッ、最低ー!」

「幻滅ー!」

なんて声すら聞こえる。

「あの女誰? ムカつく。シメる?」

「てか、ヤスたちに言ってマワさせる?」

そんな物騒な言葉を発する女たちの前に、沙有里を先頭に一年の水泳部員たちが立ち塞がった。

「あんたら覚えときなよ。まゆの父親、警察の偉い人だから。まゆに何かしたら、あんたらの家族や親族巻き込んで人生めちゃくちゃだから!」

いつかの佳菜美のセリフを、まるで自分の手柄であるかのように、沙有里が胸を張りながら言い放った。
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