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硝子の初恋
第8章 かげり始めた幸せ
参拝者の列は、想像以上に長く続き、その列に並んだまま新年を終えるカウントダウンが始まる。

「眞斗! 私、今年の始めには、年越しをこんな風に眞斗と過ごせるなんて思ってなかったよ。今すごく幸せ」

まゆなが本当に幸せそうな顔をして笑う。

「来年も、その先も、ずっとずっと一緒に居てね?」

高臣の腕に自分の腕を絡ませて、上目遣いに高臣を見つめるまゆなは、付き合い初めの頃よりグッと大人っぽくなった。

ドキドキと高鳴り出した高臣の分厚い胸に、まゆなの頭を抱き寄せる。

「まゆ……」

周りの楽しそうなカウントダウンの声が遠ざかる。

『3、2、1……』

ドーン!!!!!

カウントダウンに合わせて、新年を告げる花火が上がる。拍手をしたり、抱き合ったり、周りも様々に新年を喜んでいる。

最初の花火とほぼ同時に、高臣の唇がまゆなの唇に重ねられた。

花火に照らされ、更には新年を喜ぶ周りの歓声に、まゆなは恥ずかしくてキツく目を閉じた。

ゆっくりと唇が離され、まゆなが恐る恐る目を開くと、高臣の舌がまゆなの唇をペロリと舐め取った。

「ぶ……顔真っ赤」

花火に照らされたまゆなの顔を見て、高臣が笑う。

「もーッ!」

逸らそうとしたまゆなの顔を、高臣の手が両手で包み込むようにして押さえる。

「まゆ……これからも、ずっとこうして一緒に居ような」

甘い言葉の後の甘いキス。まゆなは周りの目も忘れて、高臣の首に抱きついて受け入れていた。
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