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硝子の初恋
第8章 かげり始めた幸せ
「声デカ過ぎ! 今裸なんだから、親が来たらいつかの一輝みたいになるぞ」

まゆなは、真っ最中を彼女の親に見られ、一週間寝たきりだったという話をしていた一輝を思い出す。

(一週間も眞斗とエッチ出来ないのはヤダ! ……じゃなくてッ、あーもう、私完全に頭がエッチに支配されてる)

まゆなは頭をブンブンと振る。


「……まさか、一輝の身体、想像してないよな?」

「は? してないしてない!」

まゆなはまた頭をブンブンと振った。

「……どうやったら、まゆを俺でいっぱいに出来る?」

少し切なげに目を伏せた高臣が、まゆなの胸に顔を埋める。

「……私の中は、もうずっと眞斗でいっぱいだよ?」

まゆなは、高臣の頭をぎゅーっとその胸に抱き締める。

「……足りない……隙が多過ぎる……」

高臣は、神社で見かけたサラリーマンを思い出していた。

高臣が隣に居るのに、まゆなの方を半笑いで見ていたあのサラリーマン。まるで、高臣とまゆなの間に、自分の入り込める隙を探しているかのように……。

「……俺おかしい……まゆが、他の男としゃべんのも、他の男に見られてるだけでも……すげームカつく」

高臣は苦しげそう呟くと、また、まゆなの胸に顔を埋めた。

本気の恋が初めてなのかもしれない。

こんなに心が乱される程の嫉妬は、高臣にとって初めてだった。

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