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硝子の初恋
第8章 かげり始めた幸せ
遠回りになるからいいとまゆなは言うのに、高臣はまゆなを家まで送って行った。

「眞斗? 何か気になる?」

時々後ろを振り返り、あのサラリーマンが来ていないか確認する高臣に、何も知らないまゆなは怪訝な顔をする。

「……まゆはホントのん気だな」

呆れたように笑う高臣。

「……1人で出歩くなよ?」

少し真面目な顔をしてそう言った。

「え? 何で?」

「何かあると困るから」

高臣が愛おしそうにまゆなの髪を撫でるから、まゆなは恥ずかしくて俯いた。

「……お父さんみたい」

そう言って少し膨らめたまゆなの頬に、高臣は軽くキスをする。

「帰ったら爆睡しそう」

大きく伸びをした後、自転車に跨る高臣。

「私も今日は寝て過ごす」

高臣を見送ったまゆなは、その言葉通りに、元旦は一日寝て過ごした。

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