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硝子の初恋
第9章 突然のサヨナラ
新学期が始まって数日後、
「まゆ、おはよう!」
「沙有里、おはよう」
昇降口で沙有里と会ったまゆなは、おしゃべりしながら靴箱の中の上靴に手を伸ばした。
「ッ?!」
指先にチクリと何かが刺さる。見ると、お気に入りの手袋が切れていたが、幸い、まゆなの指は小さな穴からポツンと赤い雫が出ただけで済んだ。
「がびょ───ん!」
まゆなの様子を見ていた沙有里が、心配する程でもなさそうと察してふざけ出す。
「……残念でした。カミソリです」
まゆなは、上靴の踵部分に貼り付けられたカミソリを、慎重に外す。
「えー、画鋲じゃないの? 冬休み前は画鋲だったのに、グレードアップしたな」
「何その嬉しくないグレードアップ!」
まゆなと沙有里が靴箱に立ち尽くしたまま、わーわーと騒いでいると、
「またカミソリ攻撃?」
後ろから声が掛かる。
「眞斗?!」
「貸して」
高臣は、まゆなの手の中のカミソリをハンカチに包み、ポケットにしまう。
「指、大丈夫か?」
高臣がまゆなの指を見つめ、その指に乗る赤い雫を舐め取った。
「まままま眞斗っ!?」
こんな人前でっ…と、まゆなは真っ赤になって指を引っ込めた。
「……まゆは強いな」
高臣は気にする様子もなく、今度はまゆなの髪を優しく撫でた。
「沙有里がいなかったら泣いてる」
高臣と付き合い始めて2ヶ月。最初に比べればグンと減ったが、まだまだまゆなに対する嫌がらせは続いていた。
「まゆ、おはよう!」
「沙有里、おはよう」
昇降口で沙有里と会ったまゆなは、おしゃべりしながら靴箱の中の上靴に手を伸ばした。
「ッ?!」
指先にチクリと何かが刺さる。見ると、お気に入りの手袋が切れていたが、幸い、まゆなの指は小さな穴からポツンと赤い雫が出ただけで済んだ。
「がびょ───ん!」
まゆなの様子を見ていた沙有里が、心配する程でもなさそうと察してふざけ出す。
「……残念でした。カミソリです」
まゆなは、上靴の踵部分に貼り付けられたカミソリを、慎重に外す。
「えー、画鋲じゃないの? 冬休み前は画鋲だったのに、グレードアップしたな」
「何その嬉しくないグレードアップ!」
まゆなと沙有里が靴箱に立ち尽くしたまま、わーわーと騒いでいると、
「またカミソリ攻撃?」
後ろから声が掛かる。
「眞斗?!」
「貸して」
高臣は、まゆなの手の中のカミソリをハンカチに包み、ポケットにしまう。
「指、大丈夫か?」
高臣がまゆなの指を見つめ、その指に乗る赤い雫を舐め取った。
「まままま眞斗っ!?」
こんな人前でっ…と、まゆなは真っ赤になって指を引っ込めた。
「……まゆは強いな」
高臣は気にする様子もなく、今度はまゆなの髪を優しく撫でた。
「沙有里がいなかったら泣いてる」
高臣と付き合い始めて2ヶ月。最初に比べればグンと減ったが、まだまだまゆなに対する嫌がらせは続いていた。