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硝子の初恋
第9章 突然のサヨナラ
「これ、お前だろ」

つぐみに屋上に呼び出された高臣は、つぐみが喋り出すより先に、ハンカチに包まれたカミソリを見せていた。

「……何の事ですか?」

つぐみは、首を傾げてみせた。

「今朝、まゆなの上靴に入ってた。二学期には、水泳部のタオルにも貼り付けられてた」

「何で? 私を疑うの?」

傷ついたような顔をして、つぐみは高臣を見つめた。

「……プールサイド、監視カメラついてんだよ」

監視カメラの映像は校長の許可がなければ見れない。証拠はない……賭けだった。

一瞬、つぐみの顔が引き攣る。

(やっぱこいつか)

屋上での行為の後、つぐみは何度も高臣に迫っていた。だが、まゆなに本気になっていった高臣は、つぐみの事を全く相手にしてくれない。

痺れを切らしたつぐみは、ついに先日「これ以上待てない! 抱いてくれないなら神崎さんを痛い目に合わせる」と高臣に叫んでいた。

「で、どうします? 校長に言う?うちの親、結構学校に寄付してるから、校長は私の言いなりですよ?」

「!!」

突然豹変したつぐみの態度に、高臣は面喰らった。

「それとも警察に行く?でもうち大金持ちだから、お金で揉み消すの簡単ですよ?」

いつもいい子を演じていたつぐみは、開き直り、ついに本性を晒していた。

「お前、何とも思わねえの? これで実際、まゆが怪我してんだぞ?」

「だから? ザマーミロ」

つぐみの態度に、高臣は大きくため息を吐いた。

「これ以上話しても無駄だな。もう次はねぇからな。俺が全力でまゆを守るから」

そう言うと、高臣はつぐみに背を向け、屋上から立ち去ろうとした。

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