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硝子の初恋
第9章 突然のサヨナラ
「そういえば、神崎さんのお母さんのパート先、父の会社の子会社なんですって! まぁ、お母さんがクビになっても困らないでしょうけどね」

つぐみは、高臣の唇に自分の唇を寄せる。

「……いい加減にしろよ。何が目的だよ?」

つぐみの手を振り払い、顔を背けた高臣。つぐみは、高臣の頬を両手で挟み、自分の方に向かせた。

「言ったでしょ? 抱いて欲しいって。私、高臣先輩が好きなんです」

「こんな最低な事しといて、よく好きとか言えるな?」

「ふふふ、好き過ぎてどうやっても手に入れたいの。高臣先輩の返事次第で、大切なまゆちゃんの運命が決まるんですよ?」

「……一度抱けば気が済むのかよ?」

「さぁ……? 私、とっても貪欲なんです。でも、手に入ると途端に飽きたりもする。抱かれてみない事にはお返事出来かねます」

「…………」

高臣は抵抗する事も、答える事もせずに、つぐみを睨んでいた。

「"今夜抱いて"と言いたい所ですが、私の家はとても厳しくて。だから明日の昼休みにまた屋上でお待ちしておりますね。あ、私、門限がありますのでもう帰らないと。送って下さいますか?」

つぐみは有無を言わせないような早口で捲し立てる。

「…………」

「自転車の二人乗り、憧れだったんです。お返事次第で、門の近くで待たせている父の知り合いに、"そのまま帰って"か、"もうじき出てくる女子高生を拉致して強姦して"か、連絡しなければいけないんです」

つぐみは、高臣に見せつけるように携帯を取り出した。
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