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硝子の初恋
第10章 サヨナラの理由が知りたい
「まゆ……」

高臣がそう言ったきり黙り込む。

まゆなは怪訝そうに首を傾げ、高臣を見つめた。

(何て…言えば……)

つぐみとの事にケリをつけない限り、まゆなとはヨリを戻せない。

でも、まだその方法すらわからないでいる。

「……何?」

しばらく高臣を見つめていたまゆなが口を開いた。

「神崎? あ、高臣先輩……」

渡辺が振り返り、2人を見つめている。

「あの…もう行かなきゃ……」

歩き出すそうとするまゆなの手を、高臣はとっさに掴んだ。

「何で、あいつと居んの?」

不機嫌にそう呟いた高臣。

「あいつ? 渡辺くん? 今一緒になっただけで……」

「神崎、予鈴鳴るよ! 行こう」

渡辺が、高臣が掴んでいたまゆなの手を引く。

「……ッ」

スルリと、まゆなの手が高臣の手をすり抜ける。

「じゃあ……」

そう言ったきり、振り返る事なく渡辺に手を引かれて行くまゆな。

(他の男に持ってかれるのを見てるだけなんて……)

高臣はまた苦し気な表情をして、頭を抱え込んだ。
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