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硝子の初恋
第10章 サヨナラの理由が知りたい
「たーかーおーみーッ! 何やってんだよ! ここへ来てタイム落とすとか、お前やる気あんのかぁ!?」

高臣とまゆなが別れてから1週間。今日もプールには、コーチの怒鳴り声が響いていた。

「また怒られてる」

沙有里が手を止めて高臣を見ている。

今だ沙有里にも言い出せず、高臣ともまともに話せないままいるまゆな。何も言えずに俯いた。

「今週毎日連続怒られてるね。高臣先輩、完全にスランプだね」

スランプ……原因はつぐみにあるのだろうか。まゆなは高臣を見つめた。

「記録会……今月末だよね……」

「ヤバイよねぇ」

まゆなの呟きに、沙有里がため息交じりに答えた。

(明日、立石さんと話そう!)

思い詰めたように眉間に深くシワを寄せる高臣を見て、まゆなはそう覚悟を決めた。


(またいる……)

公園を通らず帰るにはコンビニを通らなければいけない。

最近毎日帰りに通るコンビニ。駐車場には、またあのサラリーマンが立っていた。

ただじっと、まゆなが見えてから通り過ぎるまで見ている。

(やだやだ! 毎日いるとか怖過ぎる!!)

まゆなは、自転車を漕ぐ足を忙しく動かし、目を合わせないよう急いで通り過ぎた。
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