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硝子の初恋
第10章 サヨナラの理由が知りたい
次の日学校。4時限目が終わり、まゆなはお弁当も食べずにつぐみのクラスへ急いだ。

「あの、立石さん……少しいい?」

つぐみの席の前に立つ。

「いいよ。屋上行こう?」

同性のまゆなですらドキッとするような可愛らしい笑顔で、つぐみは頷いた。

屋上に着き、2人きりなのを確認すると、つぐみの顔は意地悪く歪んだ。

「昼休み、毎日ここで眞斗とエッチしてるのよ?」

つぐみはベンチに座り、お弁当を広げている。

「眞斗……?」

「そう。眞斗がそう呼べって」

「え……?」

(眞斗は、気に入った子にしか名前で呼ばせない……。眞斗はもう立石さんの事が……)

動揺するまゆなを楽しそうに見て、つぐみは作法良くお弁当を食べ始める。

「今日も今からここでエッチする約束をしているの。食べなきゃもたなくて……眞斗、激しいから」

「ッ!!」

高臣と別れたあの日の光景を思い出し、まゆなは俯いた。

(相思相愛? 眞斗のスランプは、やっぱり私の存在が邪魔なだけ?)

今にも零れ落ちそうな涙を、まゆなは必死に堪えた。

(でも、眞斗のあの切なげな顔には絶対理由がある! 泣いてる場合じゃない)

まゆなは目の前で平然とお弁当を食べるつぐみを睨んだ。
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