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硝子の初恋
第10章 サヨナラの理由が知りたい
放課後、大学のプールで、沙有里は挙動不審な程キョロキョロと外ばかり気にしていた。
「あれ? まゆは?」
一番気付かれたくない相手に、一番聞かれたくない言葉を掛けられる。
「高臣先輩! いやっ…その……知らない!」
「は? どういう事だよ?」
こんな時間になっても戻らない親友。その彼氏に、他の男と消えたなんて知られる訳にいかない。高臣の怪訝そうな顔に、沙有里は泳ぎまくる目を向ける。
「や、休み! そうそう、今日は用事があるから休むって言ってた!」
高臣が沙有里の横をすり抜けて行ったので、沙有里はホッと胸を撫で下ろす。
が、高臣は着替えを終えて出てきた一輝に話しかけていた。
「一輝、まゆは?」
「あー、昼休みに、渡辺がまゆの手を引いて学校出てっちゃってそれっきりで……」
「一輝!!」
バカ正直に答えてしまった一輝。沙有里が慌てて制するが、時既に遅しだ。
「え? ……あ!」
しまった! という顔をした一輝が、恐る恐る高臣の顔を見た。
「渡辺?」
昇降口で会った渡辺の顔を思い出す高臣。わざわざ繋いでいた方の手を引き、まゆなを連れ去って行った。
(あいつ……何ノコノコ着いてってんだよ!)
高臣がグッと拳に力を込めた時、
「さっ、沙有里! 遅くなってごめんねっ」
息を切らせたまゆながプールサイドへ駆け込んで来た。
「あれ? まゆは?」
一番気付かれたくない相手に、一番聞かれたくない言葉を掛けられる。
「高臣先輩! いやっ…その……知らない!」
「は? どういう事だよ?」
こんな時間になっても戻らない親友。その彼氏に、他の男と消えたなんて知られる訳にいかない。高臣の怪訝そうな顔に、沙有里は泳ぎまくる目を向ける。
「や、休み! そうそう、今日は用事があるから休むって言ってた!」
高臣が沙有里の横をすり抜けて行ったので、沙有里はホッと胸を撫で下ろす。
が、高臣は着替えを終えて出てきた一輝に話しかけていた。
「一輝、まゆは?」
「あー、昼休みに、渡辺がまゆの手を引いて学校出てっちゃってそれっきりで……」
「一輝!!」
バカ正直に答えてしまった一輝。沙有里が慌てて制するが、時既に遅しだ。
「え? ……あ!」
しまった! という顔をした一輝が、恐る恐る高臣の顔を見た。
「渡辺?」
昇降口で会った渡辺の顔を思い出す高臣。わざわざ繋いでいた方の手を引き、まゆなを連れ去って行った。
(あいつ……何ノコノコ着いてってんだよ!)
高臣がグッと拳に力を込めた時、
「さっ、沙有里! 遅くなってごめんねっ」
息を切らせたまゆながプールサイドへ駆け込んで来た。