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硝子の初恋
第10章 サヨナラの理由が知りたい
練習後、沙有里が強引に、高臣と一輝も引き連れて、駅前のドーナツ屋へ来ていた。

まゆなの横に高臣、テーブルを挟んだ向かいに沙有里と一輝が座っている。

「まゆ、昼休みすごい落ち込んでたじゃん? 泣いてた?」

無神経に聞く一輝の背中を沙有里が叩く。

まゆなは気まずそうにチラリと高臣を見る。まゆなの隣に座った高臣は、遠くの床を睨みつけている。

「えっと……お昼前にちょっと…いろいろあって……」

(お昼前……立石とまゆが会った時か……)

"だから言ってやったの。眞斗のスランプは、神崎さんが眞斗の目の前をウロチョロするからでしょって。眞斗は監視されてるみたいで嫌な気分でしょうね。気まずいんでしょうねって。そしたら神崎さん、涙流して───…"

つぐみの言葉が頭の中でこだまする。

(自分のせいで俺がスランプなんだって…泣いてたんだ……。まゆのせいなんかじゃないのに……)

高臣は膝の上の拳をキツく握った。

「で、落ち込んでたまゆを渡辺王子が連れ出したと。その後は?」

沙有里が身を乗り出す。

「えっと……それで…最近出来たファストフード店でお昼を食べて、ゲームセンターに寄って……。そこで補導員に捕まりそうになって、めちゃくちゃ走って逃げたんだよ」

「何その少女漫画な展開! 渡辺の奴完全に王子じゃないか! 恋愛に発展するの完全に狙ってるじゃん」

沙有里が声を荒げた。

「沙有里、声大きい!」

沙有里の隣に座る一輝が沙有里の腕を突つく。

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