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硝子の初恋
第11章 再び重なる心
「あ、まゆちゃん! 悪いんだけど、更衣室の鍵当番、頼んでいい?」

スタスタと立ち去るコーチの背中を眺めていたまゆなの後ろから、先輩マネージャーの声が掛かる。

「え? あ、はい」

まゆなは慌てて鍵を受け取った。

「ごめんね。まだ中に高臣くんがいるの。他は皆帰ったから」

そう言うと、先輩マネージャーはバタバタと走り去って行った。


トントン
更衣室のドアを叩いても返事がない。まゆなは恐る恐るドアを開けた。

着替えもせずに更衣室の真ん中のベンチに座る高臣。

「あの……高臣先輩……」

「まゆ……」

ボーっと一点を見ていた高臣が、まゆなの声に気付き顔を上げる。その顔は、泣きそうに歪んで見えた。

「眞斗……!!」

まゆなは思わず駆け寄って、高臣を抱きしめた。

「……ッ……1人で苦しまないでよ……私はそんなに頼りない?」

「まゆ……ッ」

高臣は、まゆなの胸に顔を埋め、背中に回した手に力を込めた。

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